肉食系男子に、挟まれて【完結】


「文化祭、もうすぐだねえ」

「本当ですねえ」

「私、トライアングル完璧にするわ」

「ぶっ」


真面目な顔で辻先生が言うから、思わず吹き出す。
口の中にあんぱんなくてよかった。

あったら間違いなく出てた。



「どう? 安西ちゃんの方は」

「あ。私の方は……ううん」


状況は中々芳しくない。
だから、これを食べたら少しだけ練習しに行こうかなと思っていたところだ。


やる事たくさんだけど練習しないとうまくならない。



「そうかあ。まあ、トチっても大丈夫っしょ」

「……は、はは」


本当にトチっても、爆笑で済むだろうな。
でも、どうせやるならちゃんと弾きたいし。



「ってわけで、私は練習して来ます」

「え? 本当に? 偉いね、安西ちゃん」

「時間がないんですよっ」

「あはは、行ってらっしゃい」

「行ってきます」


私はいつもの持ち物を腕に抱えると、辻先生に挨拶して職員室を出た。


廊下を歩いていると、既に食事を終えた生徒が私に声をかけてくる。
それに笑顔で答えながら、音楽室へと向かう。


音楽室に入ると、練習を開始した。

朝よりかは上手く弾けてると思う。……いや、ような気がする。


腕を組みながら、少し楽譜とにらめっこしていると。


「やっぱり先生いないとダメですかね?」


そう突然声がして、ハッとして顔を上げた。

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