肉食系男子に、挟まれて【完結】
「せ、先生っ⁉」
目を真ん丸にして驚く久住君。
……恥ずかしいです。本当に。
「あ、はは。大丈夫、驚かせたね。ごめんごめん」
「いや、いいんですけど……」
まだ不思議そうな顔をする久住君を、直視出来ない。
まだ気持ちがぐちゃぐちゃなのに、どんな顔をすればいいのかわからない。
私はどうにか笑顔を見せながら、久住君に言った。
「ええっと、ごめん。もう一度教えて貰えるかな」
「……はい、ちゃんと聞いて下さいね?」
「うん、次は大丈夫」
……多分。
さっきと同じ様に、腕を伸ばして私の手の平に自分の手の平を重ね合わせる。
「ここです、ここ」
「……うん」
触れてる箇所が、熱い。
ドキドキと心臓が鳴って、うるさい。
昨日から落ち込んだり、ドキドキしたり忙しい。
少しだけ頭を下げると、久住君は顔をそっと私の耳元に近付けた。
それから。
「……先生、まさか意識してます?」
そうやってぼそっと囁いた。
それに想像以上に体が反応してしまう。
「ちょ、ちょっと、先生をからかわないの!」
少し怒るように言うと、久住君は
「ふうん」
と言った後、ニッコリと微笑むと反対の腕も鍵盤へと伸ばして、私を抱き締める体勢をとった。