肉食系男子に、挟まれて【完結】
「く、久住君」
「何ですか? 先生」
「……近いです」
「そうですか?」
「こんなとこ見られたら大騒ぎになるから離れて」
「俺はなってもいいですけどね」
「ダメです」
「先生は俺の事、どう思ってますか」
「……それは」
鍵盤に伸びていた手は私を包み込む。
それから、ぎゅうっと強く抱き締められた。
「ちょっと、久住君⁉」
「大好きです、先生。俺、先生の気持ち、知りたいです」
「……わた」
私が口を開きかけたその時。
キーンコーンと、チャイムの音がしてそれは掻き消されてしまった。
「……すみません」
すっと、久住君の腕が私から離れる。
「さっきのとこ、ちゃんと覚えて下さいね。俺、行きます」
「……うん」
久住君は扉まで走ると、ぴたっと止まって一度こっちを振り向く。