肉食系男子に、挟まれて【完結】
「昨日の男の事は気にしてません。
俺、そいつより先生の事好きな自信ありますから」
そう言った後、爽やかな笑顔を見せると久住君は廊下へと出て行った。
足音が聞こえなくなってから、私は両手で顔を覆う。
さっき、なんて言おうとしたの。
久住君でドキドキしていたのに。
……思い出したのは春斗の顔だった。
今朝の職員室での春斗の態度を思い出して、チクリと胸が痛む。
もう、普通に話すことなんて無理なのかな。
頭の中は春斗でいっぱいだった。
久住君のことも考えないといけないのに。
私は久住君のこと、生徒だってちゃんと思っている?
春斗のことは?
自分の心に問いかけてみるけど、答えはわからないままだ。
中途半端で、どっちつかずで、嫌気がさす。
授業、向かわないと。
私は憂鬱な気持ちで音楽室を後にした。