肉食系男子に、挟まれて【完結】


そんなだから午後の授業は軽く上の空で、何度も生徒から指摘されて笑われてしまった。
……こんなんじゃダメだと思うも、二人のことが頭から離れない。


教師になってから恋愛してなかったからな。
いい大人のクセに、情けない。


私情なんて、持ちこんだらいけないってわかっているのに。

わかっているけど、行動が伴わない。
伴ってくれない。



「……はあ」


職員室で、私はまた一つ溜め息をついた。



「安西ちゃん」



それを聞いた辻先生が、体をこちらに向けるとしかめっ面を見せる。



「何度目よ、それ」

「……何の事ですか」

「溜め息。何か、私まで負のオーラに包まれそうなんですけど」

「……すみません」


肩を落としながら、私は辻先生にそう言った。
更に辻先生の顔が歪む。



「辛気臭いっ。後で聞いたげるから! ほら、練習行くよ!」

「はい」


そう言うけど、気分は上がらない……みたいです。辻先生。



辻先生に促されて、私は楽譜を持つと辻先生と音楽室へ向かう。
< 158 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop