肉食系男子に、挟まれて【完結】
「そうやって悩めるって……少し羨ましいよ、私は」
「え?」
並んで歩く辻先生を見ると、少しだけ眉を下げながら辻先生が続けた。
「私、悩まないからね。基本的に。
恋愛と仕事、キッパリ切り離してるから」
「……す、すみません」
それを言われてしまうと、胸が痛いです。
私情持ち込みまくりだし。
「いや、責めてない。まあ、ちょっと仕事に影響され過ぎだけどね」
「……はは」
「ほんっとうに不器用だよね。安西ちゃん」
その言葉に渇いた笑いしか出ない。
「さっき、山本先生心配してたよ」
「え?」
その言葉に私は目をぱちぱちとさせた。
……春斗が、心配? 私を?
「元気ないけど、何かあったんですかって」
あんな態度取っていたから、春斗の気持ちがわからなかったけど……心配してくれていたんだ。
「わかんない~って答えたら、多分俺の所為です。すみません。って何故か、私が頭下げられたよ。
あははは」
「そうなんですか」
「山本先生って、チャラそうだって思ってたけど。
結構真面目じゃない?」
「……実はそうなんです」
春斗は軽い感じに見られてしまうけど、本当はとっても優しいんだ。
自分の気持ちを素直に伝えてるだけなんだ。
またチクリと胸が痛む。