肉食系男子に、挟まれて【完結】
春斗からの嫉妬が嬉しいっていうのも、久住君にときめいたってことも、全て私の噓偽りない素直な気持ちだ。
辻先生はんーっと小さく唸ると、口を開いた。
「私が思うに……今の安西ちゃんは本当にどっちも好きなのかもよ?」
「どっちも?」
「それか、どっちも好きじゃないか」
「……好きじゃない」
「そう。だって、迷うってそういう事でしょ?」
辻先生に言われた事は、尤もだと思った。
私はもしかしたら、二人を好きなようで本当は二人とも好きじゃないのかもしれない。
「まあ、まだ迷ってもいいんじゃない?
時期尚早。結論付けるのが早いのかもよ?」
私はゴクリとビールを飲み込む。
辻先生はふふっと笑みを零して笑った。