肉食系男子に、挟まれて【完結】
「何か、楽しそうですねえ」
そう言って職員室に入って来たのは、斉藤先生。
美術の先生だ。
短髪黒髪で、丸メガネをかけている。
優しそうな見た目通り、とっても穏やかで柔らかい。
「とっても楽しいですよ」
「全く楽しくないです!」
見事、正反対の言葉がハモる。
それに二人して顔を見合わした。
私は思いっ切り苦虫噛み潰したような顔。
彼は締まりのないニヤついた顔。
「やっぱり楽しそうですねえ」
ふふふっと笑いながら、斉藤先生は自分の席に着く。
斉藤先生、それは断固否定します。
楽しくなんかないです!
「それじゃ、先生資料借りますねえ」
山本先生は目を細めてにっこりと笑うと、自分の席へと戻って行った。
……やっと行ったか。
心の中で特大であたりに響き渡るような舌打ちを鳴らす。心の中だからいくらでも大きな音を出していい。