肉食系男子に、挟まれて【完結】


「……な、何で」


春斗の後ろから顔をひょこっと覗かせたのは、辻先生だ。
まさか。
電話の相手って。


春斗だったわけ!? 何で? 何で!?



「かーれーがー心配だってよ! 安西ちゃん!」


辻先生はニヤニヤとしながら、春斗を指差してそう言う。
春斗ははあ!?って顔をしてるけど、特に否定はしない。


「可愛いね。全く。ほらほら。送ってもらいなさい」

「え。ちょ、つ、辻先生!?」

「明日お金は請求するから」

「いや、俺出しますから」



そう言うと、春斗が一万円札を財布から取り出して机に置いた。


「は!? ちょっと待ってよ! 払う! 私払う!」

「いいから。帰るぞ。辻先生、ありがとうございました」


私の腕を取ると、春斗は強引に引っ張って行く。


「はいはーい」


辻先生はそんな私達にヒラヒラと手を振った。



わけがわからぬまま、私は春斗と外に出ると帰路につく。
腕を離してくれる気配もない。


ちょっと、待って。


距離を取るって言ってませんでしたか。
どうしてこうなってるわけ。


ハテナマークがいくつも頭上に浮かんで、消えそうにない。
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