肉食系男子に、挟まれて【完結】
それから辻先生が入って来て、私は昨日の御礼を告げた。
「昨日はありがとうございました」
「何か、顔付き大分よくなったね」
「はい、少しだけモヤモヤ取れました」
「そりゃよかった」
その時。
「失礼しまーす」
と、職員室の中に入って来たのは久住君だった。
手にはプリント。
担任の先生を探しているのだろうか。
キョロキョロしている。
そして、私と視線がかち合うと、久住君は満面の笑みを見せた。
それに思わずドキっとしてしまう。
なんつう笑顔を見せるんだ。
「安西先生っ」
……完璧、尻尾振ってる。
隣の辻先生もそれを思ったのか、顔を背けて笑っていた。
「おはようございますっ! 五味先生いませんか?」
「おはよう。五味先生見てないなあ」
「そうですか。プリント持って来たのに」
「机の上に置いておいたらいいんじゃないかな」
「うーん、大丈夫ですかね。それで」
「あはは、不安なら渡しておくよ?」
「えっ。本当ですか」
コロコロと人懐っこく笑う久住君。
それに私の顔も自然と緩む。
動く度にふわふわしてる久住君の髪の毛が揺れた。