肉食系男子に、挟まれて【完結】
『そんな時間は取らせませんから』
「……わかった」
『それじゃ、おやすみなさい』
「うん、おやすみ」
通話を終えた後、私は一度息をつく。
それがどんな内容かって事は、わかっていた。
トクトクと心臓の鼓動が速い。
胸を抑えながら、さっき言われた言葉を思い出す。
“先生の声聞いたから、いい夢見れそうです”
それは私もだ。
最近、疲れてたから。
久住君からの電話は嬉しかった。
二人の事何も考えていないわけじゃないけど。
ゆっくりと考える暇なんかなかったから。
それを言い訳にして、ずるずると引き延ばしているんだけどね。
文化祭は今週と迫ったその日。
いつもの様に授業をこなしていた。
今日は久住君のクラスの授業がある。
少しだけ楽しみにしていると、久住君のクラスの男子生徒が私を見付けて話しかけて来た。
彼は久住君と一緒にバンドとして出る兼田君だ。
「あ、まお先生」
「兼田君、授業始まるよー」
「うん、わかってる。あのさ。今日航生休みなんだよね」
「え!? 休み?」
知らなかった。休み?
同じ学校にいても、担任じゃないと顔を合わす機会少ないし。