肉食系男子に、挟まれて【完結】
「どうしたの、安西ちゃん。頭抱えて」
「えっ!?」
私が職員室で一人で頭を抱えているのをバッチリ辻先生に見られたらしい。
びくっとしながら、振り返った。
「何かあった?」
「いや、ちょっと」
「そういえば、あのワンコ、熱出したってね」
それ、話題逸れてないし。
しかもワンコって。
「連絡してやれば?」
サラっとそう言われて、私は目を真ん丸にした。
そうか。
電話すればいいんだ。
いや、待て。
熱あるのに電話して迷惑じゃないか?
寝てたりしたら起こしちゃうんじゃないか?
また腕を組み考え込むと、辻先生がはあああっと盛大な溜め息をつく。
「どうせ、ごちゃごちゃ悩んでるんでしょ。
絶対連絡来たら喜ぶから。かけない後悔より、かけて後悔しなさい」
「それも……そうですね」
辻先生に背中を押されて、やっとかける決心ついた。
元気になったら謝ればいいんだ。
家に帰ったら連絡しよう。
うん、そうと決まれば練習だ、練習。
それから、私は教師バンドの練習をする為に辻先生と音楽室へと向かった。
そこには春斗がいて、ばちっと目が合う。
「待ってましたよー。それじゃあ、やりますか」
「はーい」
そのまま、練習に入り一時間ほどして今日の練習はここまでにしようかとなった。
お疲れ様でしたーと声をかけて、いつも通り辻先生と職員室に戻ろうとすると、春斗から声がかかる。