肉食系男子に、挟まれて【完結】
「あ、安西先生」
「はい?」
「ちょっといいですか」
「え」
目をぱちぱちさせていると、辻先生が
「先に行ってるね」
と、言って手をひらひらとさせた。
「何ですか?」
二人きりになった後、春斗に問いかけた。
音楽室に残った私と春斗。久しぶりに二人きりになった気がする。
「あー、とりあえず座ろうぜ」
そう言ってからパイプ椅子を二つ持って、私の横に一つ広げてから置いた。素直に私はそれに腰かける。
自分の分の椅子を私の横に広げると置いて春斗も座った。
「なんか久しぶりだな。こうやって真央梨と話すの」
「そうだね」
それから当たり障りのない会話を繰り返す春斗だったけれど、急に黙るとぎゅっと私の手を握りしめた。
突然のことにドキッとしながら春斗を見る。
「……振りほどかれなくてよかった」
力なく笑うと、春斗は更に手に力を込めた。
ドキドキと心臓の鼓動が速くなっていく。
「あれから色々考えたんだけど」
前を向いたまま、独白するように春斗は続けた。
「俺、やっぱり真央梨のこと好きだわ」