肉食系男子に、挟まれて【完結】
ズルイ私
職員室に戻って荷物を持った私たちは学校を後にした。
真っ暗な道を並んで歩く。
「真央梨、ご飯どうすんの」
「んー、適当にスーパーでお弁当でも買おうかなって」
「は? まじで言ってんの?」
信じられないというような顔を見せる春斗。
え、私おかしなこと言っていないよ? キョトンとしている私に盛大なため息をつくと春斗が呆れた声を出す。
「まじで俺がいないとダメじゃね? 弁当じゃ栄養偏るだろ。今日は野菜たっぷりの鍋にするわ。拒否権はなし」
「え、あの」
「何」
ギロっと睨まれ、うっとなりながら私はおずおずと
「ビールはいいでしょうか」
と尋ねる。
「……それは一本までなら許す」
「一本」
私はぼそりと呟く。その缶の大きさによるけど、勝手にカゴに五百㎖缶入れたらいいだろう。
スーパーで買い物を済ませた私と春斗はお互い一度荷物を置いて着替えてから、春斗の部屋に集合ということになった。
カゴに勝手にビールを入れたけれど、家にあるからと戻された。
どうしてあるの?と聞いたら、いつ真央梨が来てもいいようにとさらりと答えられて言葉を詰まらせた。
あまり話さなかった期間中も、きっと春斗は私のことをたくさん考えてくれていたんだ。
そんなことにも嬉しくなる。
スウェットとハーフパンツに着替えた私は春斗の部屋へと向かった。
コンコンっと玄関のドアを叩くと、図ったようにドアががちゃりと開く。
私が部屋を出た音が聞こえたのだろう。