肉食系男子に、挟まれて【完結】
「ん」
春斗は顎で中に入るように促す。
「お邪魔します」
とだけ言って、部屋へとあがった。
春斗は白いTシャツに紺のカーディガンを羽織っている。すぐにキッチンに向かうと、冷蔵庫からビールを取り出して渡してきた。
「ありがと」
「ちょい待ってて」
ビールを受け取って素直にリビングに腰を下ろす私。
手伝おうかって言っても、どうせ邪魔とか言われるし。ビールを飲んで待っている方がいい。
プルタブを開けてから、グビっと冷えたビールを喉に流し込む。
それにしても。
相変わらず、春斗の部屋はいつ来ても綺麗だなあ。最近忙しくて、ちょっと荒れている私の部屋とは大違いだ。
ぐるりと部屋を見回していると、「何見てんだよ」と頭をがしっと掴まれた。
「いつもながら綺麗だなあって」
「なんだ。何か探してんのかと思った」
「探す? って何を?」
「元カノとの写真とか?」
そうやって真顔で言われて、ぶっと私は吹き出した。
「さ、探すわけないじゃん」
動揺しながら言うと、春斗はケラケラと笑った。