肉食系男子に、挟まれて【完結】
「真央梨」
「な、なに」
体が固まったまま、私は言葉を詰まらせる。春斗の顔は相変わらず見ることが出来ない。
「こっち見て」
「なんで」
「どうしたの。様子がおかしいじゃん。俺何もしてないよな?」
何もしていない。春斗は。
じっとこっちを見ているのがわかる。視線が痛い。だけど、春斗の方を向けずにいた。
きっかけはさっきの元カレに嫉妬をするって話だけど、どうしてこんなに春斗に対してドキドキしているのか私もわからない。
掴まれた箇所が熱い。自分の体温が上昇していくのを感じる。
「なんでもない」
「なんでもなくないだろ。なんかよそよそしいし、俺のことさっきから一度も見ないし。俺の部屋に来た時は普通だったじゃん」
私は何も言えずに口を噤む。ゆっくりと春斗の顔を見た。
真剣な表情。真っ直ぐに私を見つめている。
胸がぎゅうっとなって、苦しい。
「知らない内に俺が何かしたなら言って。真央梨に嫌な思いさせたくないから」
「嫌な思いなんてしてないよ」
「じゃあなんで」
「なんでもないってば!」