肉食系男子に、挟まれて【完結】
「久住君、手伝い? いつも偉いねえ」
本当に、久住君は先生からの頼まれ事を嫌な顔せずに、ニコニコとして引き受けている。
素敵な生徒だ。
だから、申し訳ないと思いながらも、つい先生方も頼んでしまう。
久住君はプリントを机に置くと
「いえ、これぐらい全然っ。職員室来たいんで!」
そうやって、満面の笑みで返した。
「職員室に来たいって珍しいね。何で?」
「あ、いや、理由はないです」
「ええ? 何それ。おかしいの」
「いいんですっ。……ストップ、先生」
「え?」
ストップと言われて、素直に動きを止めると彼の手が私へと伸びる。
それは口元に触れた。
目を思わず真ん丸に見開いてしまう。
急な事で不覚にもドキリとしてしまった。
「はい、オッケーです。
髪の毛。食べてましたよ?」
かくっと首を傾げながら、目を細めて微笑む久住君。
……ヤバイ、私にも耳が見えてしまった。
本当にしっぽ振っている様に見える。
辻先生があんな事言うからだ。