肉食系男子に、挟まれて【完結】
言ってからハッとする。強く言い過ぎた。本当になんでもなかったのに、食い下がってくれないから。
……いや、なんでもないっていうのは嘘だ。
私がイヤってほど、春斗を意識してしまったからだ。
でも、そんなこと本人に言えない。
驚いた顔を見せていた春斗は、わしゃわしゃと自分の頭の後ろを掻くと、はーっと息を吐いた。
「……無理矢理聞き出すようなことして悪かった。本当に俺がなんかしたわけじゃないならいいわ」
「ごめん。なんでもないから」
「ん。……あー、真央梨のとこ文化祭どう?」
話題を変えてくれた春斗に感謝しながら、私はその話に乗っかった。
「いい感じだよ。春斗のとこは?」
「俺んとこは事前準備ってより、当日のがバタバタしそうだわ」
「クレープ屋だよね。うちもメイド喫茶だからなあ」
「真央梨はメイド服着ねえの?」
「は」
着ないけど!? 絶対に着たくないけど?
信じられないって顔を見せるけど、春斗は至って普通だ。真面目に聞いているみたいで頭を抱えそうになる。