肉食系男子に、挟まれて【完結】

「どういうこと」

「急だったから、驚いただけ」

「ふうん」


全く納得していませんって顔で私を見る。でも、これ以上言えない。
黙って俯くと、春斗が私の顎をグイっと引き上げた。


「なあ」


目を細め、眉間に皺を寄せてぶっきらぼうに言う。


「まさかだけど、真央梨、俺のこと意識してる?」


その言葉に驚きで目を見開く。言葉に詰まっている私に春斗が続けた。


「これは俺の自惚れ? 俺が勘違いしているわけじゃねーよな。前みたいに逃げようとしねーし」

「それは……」


逃げられる雰囲気はない。逃げようとしたらきっとその手に掴まる。


「久住にはちゃんと話したの」


何で急に久住君の話になるのかわらなくて、戸惑っているとそれがわかったのか春斗が少し強い口調で言った。


「きちんと答えたのかって聞いてるの」


私は小さく首を振った。


「今、真央梨の気持ち聞くことはしない。今日、学校で言ったように文化祭の後でいい。でも、久住にも伝えろよ」

「……わかった」


こくりと頷くと、春斗は私の顎から手を離した。それから、苦笑しながら独り言のように呟く。


「それに、その答えがイエスなら俺、きっと真央梨のことここから帰せないだろうから」


なんでまたそんなこと、言うんだろう。

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