肉食系男子に、挟まれて【完結】
「あるけど」
「それじゃあ結んでおいて」
「なんで」
「……言わせるなよ。わかるだろ」
ぶっきらぼうに、だけどどこか照れくさそうに言う春斗に、トクンと胸が鳴った。
あんなに束縛したくないだとか言ったくせに。それでも、他の人には見せたくないんだって思ったらどうしても嬉しくて、私は素直に髪の毛を一つに束ねた。
春斗は私が束ねたのを見て口角だけ上げて笑うと、「俺こっちだから」と手を上げて階段を下りて行く。
私はコクリと頷くとその後ろ姿を見送った。
生徒の前であんな子供みたいな態度とって、恥ずかしげもなく可愛いからだなんて言って、明日から皆にからかわれるに決まっている。
それでも、嫌な気がしないから不思議だ。
“まお先生可愛いからでしょーーー!!!!”
“あー、そうだっつうの”
下手に誤魔化したりせず、はっきりとそう言ってしまう春斗のことがやっぱり好きなのだ。
最初はあんなに信じられないって思っていたのにな。
彼の言うことは嘘がないくて、信じられるって思っている。
誰に対してもそうだったから。