肉食系男子に、挟まれて【完結】
「ち、ちわっす」
思わず、そんな変な挨拶をかます私。
「は? 何だよ、それ。つか、走ってどうしたの」
軽く交わす春斗に、恥ずかしさが込み上げるけど、私はなるべく冷静に返事をした。
「私のクラス、和製メイド茶室なんだけど、衣装着させられそうになったから逃げて来た」
「ああ。あれ可愛いよな」
「でしょ!? 可愛いんだよ! だから、余計着れない」
そう答えた私に、春斗はきょとんとした。
何でそんな顔をするのか、私にはさっぱりわからない。
「俺、前に見たいって言わなかったっけ」
「……言っていた、気がする」
待ってよ、まさか。
ここにも刺客?
後ずさりしていると、春斗は腕を組んで真剣な顔で呟く。
「んーでも、やっぱり他の生徒に見せたくないからな。
俺の前でだけ着るとか、どうよ?」
「どうよってそれがどうよ! 絶対に着ないから!」
「萌えるのにー」
「萌えるって何!」
萌えるのはドリームパインだけで十分だ!
二次元だけで十分だ! 可愛いんだ!
「あはは。冗談っ」
「冗談かわからないって! 全く!」
春斗は本気に思えるんだから! 萌えるって真顔で言っていたし。
しばらく春斗は笑っていた。私はぶすっとした顔を見せていたけれど。