肉食系男子に、挟まれて【完結】
「真央梨があまりに可愛い反応するから、からかいたくなるんじゃん」
「かっ!?」
可愛いって、さらっとこういうこと言うのやめて欲しい。
心臓に悪い。ドキドキしてくるじゃない。
春斗は立ち上がると、「どっか周る?」と尋ねてきた。
「春斗、暇なの?」
そういえば、春斗何も持っていない。手ぶらでここで何をしていたのだろう。
「サボってた」
「さ!?」
サボってただって? え、あまりにもさらっと言われて、私は頭が混乱していた。
「いいじゃん、十分ぐらいだし。ちょっと疲れたんだよ」
「当日のがバタバタするって言っていたのに」
「まあな。バタバタしてるよ。すごい行列。大変そう」
ケラケラと笑って春斗が言った。
「ま、あいつら頑張るだろ。どうにかするよ。俺いなくても」
そうやって、優しい笑みを向ける。
春斗は生徒たちを信頼しているんだ。だからこそだ。
「確かに」
春斗の言葉に私は静かに頷いた。
子供だって思っているのは私だけで、彼らは子供じゃない。
立派に一人の人間として今を生きているんだ。
「じゃ、真央梨どっかいこ」
「うん、お化け屋敷以外ね」
「へえ」
ニヤリと笑う春斗。フラグじゃないからね? 行こうって言っているわけじゃないからね?