肉食系男子に、挟まれて【完結】
「安西先生~!」
その声が聞こえた瞬間、私の眉間は狭くなる。
返事もせず仏頂面のまま、後ろを向く。
極上スマイルの山本先生。
くいくいっと手で私を招いている。
……授業遅れるんですけど。
仕方なく彼の元に近寄ると、「何ですか」そう冷たい口調で言った。
だけど、彼の笑みは崩れない。
私に顔をぐいっと近付けると、小声で。
「あいつ、要注意な」
そうぼそっと告げた。
「はあ?」
目をぱちぱちとさせて彼を見るけど、まだ微笑んだまま。
「それじゃ、後でテストについてとか教えて下さいね」
「え? あ、はい、わかりました」
よくわからなかったけど、とりあえず頷くと山本先生は手をひらひらと振って階段を上って行った。
その後ろ姿を見つめる。
……あいつ、要注意?
って、誰?
まさか、久住君の事?