肉食系男子に、挟まれて【完結】
「まあ、なんていうか、頑張れ」
そう言って、ぽんっと私の背中を軽く叩く。
「適当すぎません!?」
辻先生は色々をわかっている唯一の人だというのに。
「だって、私が何か言ったって何も変わらないでしょ。それともなに、ワンコの方がよくなったとか?」
「……それはないです」
「でしょ? なら腹くくって頑張れとしか言えない。安西ちゃんはただ幸せになればいいんだよ」
「……辻先生」
春斗と幸せに。本当にそうだ。
久住君を選べない代わりに私は春斗と幸せになる。
私の様子を見て、辻先生がにっこりとした後、腕を伸ばす。
「あー…もうすぐでやっと文化祭一日目終わりだね」
「ですね」
「まあ、最後に大仕事残ってるけどね」
「……頑張りましょう」
辻先生は心底めんどくさそうだ。
行事ごと、嫌がるくせにちゃんとやるところは辻先生だと思う。
仕事だからね、とばっさり言いそうだけど。