肉食系男子に、挟まれて【完結】
終わりの時間になり、放送が入って生徒達が体育館へと集まって来る。
それから私達はステージ脇に向かい、準備を始めた。
少し遅れてやって来た春斗は、先生方に笑顔で頑張りましょうなんて言葉を交わしている。
視線は自然と私へ。
ぱちっと目が合うと、ニヤリと口角を上げてこっちへ近付いて来た。
「安西先生、辻先生。頑張りましょうね」
「……」
顔を逸らして、口を噤む私の隣で辻先生がにこやかに春斗に返事をする。
「山本先生、頑張りましょう」
私達は頷き、ステージ袖でスタンバイした。
教頭先生の「教師バンドの入場です」の声に、生徒達がどよめく。
ええーとか、まじでなんていう生徒達の声が入り混じる。
その声を聞きながら、私達はステージへと足を進めた。
楽器を持ちながら、定位置に移動する先生達。
私もピアノの椅子を引き、そこに腰を落とす。
春斗が先頭に立ってマイクを持つと、話し始めた。
「えー……驚かれたと思いますが、先生達はこの日の為に毎日練習してました。
皆もきっと知ってる曲だと思うので、ぜひ歌って下さい」
そして、曲名とアーティスト名を告げると更に叫び声が上がる。