肉食系男子に、挟まれて【完結】
「盛り上がりましたね。
これも全て山本先生のお陰ですな」
なんて言って嬉しそうに笑う教頭先生。
「いえいえ、皆さんの協力あってこそです」
春斗もどことなく嬉しそうだ。
「辻先生のトライアングル、最高でしたよ」
私が隣にいる辻先生にぼそっと囁くと、無言のまま肘で腹にドスッと攻撃をされた。
うぅ、痛い。
「明日もトラブルなく、過ごせるように注意しましょう」
教頭先生がそう言って締めたのに、皆で返事をする。
明日で終わり。
それからは中間テストで忙しい現実に引き戻されるわけだ。
少しだけ憂鬱な気持ちになる私に、辻先生が耳打ちして来た。
「先に私は帰ってるよ」
「はい、お疲れ様です」
「頑張れ」
そう言って、ぐっと拳を作り職員室を後にした辻先生。
他の先生も次々に帰宅の準備をしていた。
春斗は早々に帰宅したのか、姿が見えない。
帰るのなら一言ぐらいくれてもいいのに。
私は春斗にも伝えたいことがあるんだから。
……さて、と。
私は職員室から出て周りに誰もいないことを確認すると、ケイタイを取り出して電話をかけた。久住君に。