肉食系男子に、挟まれて【完結】
「俺、今日自分が凄く子供なんだって思いました」
彼の意図がわからなくて私は首を傾げる。ふっと自嘲気味に笑った久住君が続けた。
「先生のこと、本気で好きです。大好きです。でも、山本先生に敵わないって思っちゃったんです。
その時点で俺の負けですよね。やっぱり大人なんだなって思いました」
「……久住君」
「告白も焦ったんです。先生が誰かに奪われてしまうかもしれないって。
それがなかったら伝える勇気もなかった。
でも山本先生は関係なかった。俺にだって生徒として軽くあしらうんじゃなくて、一人の男として相手してくれました」
「……」
春斗は最初から久住君のことを一人の男として見ていた。
私にだってそれを注意してくれた。
「勝てないなって思っちゃったんです」
そうやって、眉を下げて独白するように言う久住君。
「はあ……、久住君はすごいな」
私はぽつりと呟く。
きっと、彼はわかっていたんだ。どういう結果になるかってことを。
それでいて、私が苦しい思いをさせないようにしてくれたんだ。
振ったらきっと私が悲しい思いをするってわかっていたから。
私以上に大人だって思う。
もし春斗がいなかったら、私が久住君を好きになる未来もあったかもしれない。
でも、春斗に出会ってしまったんだ。