肉食系男子に、挟まれて【完結】
自分の部屋のドアノブに手をかけた時、春斗が私の方を向く。それから。
「明日。待ってるから」
と、言った。私は少し緊張したように見える春斗に笑顔を見せ答えた。
「うん。待ってて」
「ん」
「おやすみなさい」
「おう、おやすみ」
そう言って私達は自分の部屋へと入っていった。
翌日。
昨日同様、メイドの衣装を着せようとする男子生徒から逃げつつ、私は校内を回っていた。
一般の人も来るから、トラブルにならない様に見回り。
巡回していると、辻先生のクラスが見えて来る。
絶対に入らない。見ない。聞かない。
受付をしている生徒が、私を呼び止めた。
「あ、安西先生ー! 入ってきませんか?」
「無理です」
「まさか、安西先生怖いのー?」
「ふふ、大人にだって怖い物の一つや二つあるからね?」
「あはは、安西先生可愛い~」
「からかわない! はい、私は行きますよー頑張ってー」
「はーい」
キャーって叫び声がするお化け屋敷なんて、入りたくありません!
さっさとその場から逃げると、私は階段を下りる。
今頃、久住君は体育館でシンデレラだろう。
……あの犬を披露してるって考えると、悪いと思いつつも笑みが零れてしまう。
「あ、安西ちゃん」
目の前から上がって来るのは辻先生だ。