肉食系男子に、挟まれて【完結】


悩みはちゃんと打ち明けられたんだろうな。
仲良くするんだぞ。と、私は心の中でエールを送った。

そんな二人の後ろ姿を見て、辻先生がぼそっと言う。


「今度いじくりまわそうっと」

「は!? や、やめて下さい! 私の可愛い生徒に!」

「やだなあ~冗談よ、冗談」



だから、辻先生が言うと冗談に思えないんです!


私達は一度職員室に戻ると、休憩をする。
皆校内を回っているみたいで、誰もいない。



「はい、コーヒー」

「あ、ありがとうございます」


辻先生からコーヒーを受け取ると、お礼をして一口飲んだ。


はあ、休まる。



「そういやー山本先生に話したの?」

「まだです。今日話します」

「そっかー頑張れ」

「そういえば、前に言ってた事聞いてもいいですか?」

「前に? 何?」


辻先生は不思議そうな顔を見せると、背もたれに腕を乗せてこちらに体を向ける。



“安西ちゃんにもズルイとことかあるんだなって思ったら安心したんだよ”
“まあ、それはちゃんと答え出したら教えてあげる”


私は居酒屋での言葉を思い出すと、辻先生に尋ねた。


「ズルイとか……何とか言ってたじゃないですか」

「ああ、それね」

「それって、あれですよね。私が久住君を好きじゃないってわかってたんですよね」


そう、私が言った後、辻先生は少しだけ口を噤む。
思案顔の辻先生を私はじっと見つめた。
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