肉食系男子に、挟まれて【完結】


「ダーメ」

「はっ!?」



素っ頓狂な声を上げると、彼はクスクスと肩を揺らして笑う。
がっちりと腰を掴まれていて、身動きが取れない。



「何か、ムカついたから」

「どこがですか!?」

「要注意って言ったのに、危機感ないとことか?」


危機感って何。
だって、あんなんされたの初めてだし、そんな事されると思っていなかったし。

てか、そもそも生徒だよ? 可愛い可愛いうちの生徒。危機感とかそんなもの持ち合わせているわけがない。



「何でわかんないの?
明らかにあいつ、安西センセ狙いじゃん」

「何を!? てか、あいつじゃなくて久住君です!」

「あはは。偉い偉い。安西センセ」

「何がですかっ、てか、いつまで腰を掴んでるんですか」

「えー?」


何だ、のらりくらりと交わすこの男は。
意味が全くわからない。


てか、顔が近い。


「こういう事は好きな女の人にやって下さい!
私にはしないで下さい!」

「好きならいいわけ?」

「ダメです」

「ぶはっ、どっち」

「山本先生はダメです!」


目をぎゅっと瞑って私は思わず、そう言ってしまった。

すると、急に机に押し倒されてがっちりと両手を掴まれる。
突然の事に驚きで目を見開くが、山本先生の顔が思ってた以上に険しくて、ドクンドクンと心臓が変な音を立てて行く。


さっきまで、軽い口調で笑っていたのに、がらりと空気を変えてしまっていた。

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