肉食系男子に、挟まれて【完結】
その姿を私は机を背にして見送った。唖然としていて言葉が出ない。
……ちょっと、まじで何が起こったんだ。
久住君に山本先生に。
昨日までの穏やかな時間が、ガラガラと崩れて行く。
……現実逃避に限る。
タイミングよく、今日は深夜にアニメがやるから考えなくて済む。
ビール。ビール飲んで忘れてしまおう。
乱れた髪の毛や、衣服を正すと私は教科書等を持って急いで職員室へと向かった。
そーっと職員室の扉を開ける。
そこに山本先生の姿がなくて、心の底から安心した。
それに、既に机の上が片付けられているから帰ったんだろう。
……よかった。
誰もいない職員室で、私は安堵の息を漏らす。
それから、帰る支度をしてそそくさと学校を後にした。
あれから大分時間が経っているのに、トクトクといつもより鼓動が速い。
……これは。きっと、これは驚いただけなんだ。
決して、ときめいたとかじゃない。
決して。