肉食系男子に、挟まれて【完結】
高校生の健全な男の子だし、別にさ、そういった行動をどうとか言っているんじゃない。
いや……それでも、やっぱり久住君はそんな事をしないとどこかで思っていたのかも。
私は彼を幼い子供か何かと思っていたのだろうか。
弟とか、そういう風にでも思っていたのかな。
屈託なく笑う姿とか、ふわふわの髪の毛とか。
……だから、彼の“男”の部分が垣間見えて動揺した。
“……俺、早く大人になりたいです”
“先生にとって相応しい人になりたい”
あんなに真剣な表情で、普段の彼からは想像出来ないぐらい男の顔だった。
動揺するには十分だと思う。
……って、何を考えているんだ。
だけど、明日久住君と顔を合わせても笑顔で話さないと。避けたりしたら絶対に傷付けてしまう。
それは先生としても、私個人としても嫌だ。
私は前を向いて、そう決意した。
後ちょっとで家だ。
とりあえず、メイク落として、風呂入って、ビール飲んで仮眠をする。
マンションが見えて来た辺りで、今日の計画をおさらいしていると、突然ふっと荷物を持っていた手が軽くなった。
驚いて荷物があった方を向くと、そこには肩で息をする山本先生がいた。
手には私の荷物。