肉食系男子に、挟まれて【完結】
そんな事を考えながら、職員室の扉を開ける。
「安西先生、おはようございます」
うわ。
朝からいいモノ見た。
私に声をかけてきたのは爽やか笑顔で、ニコニコと笑う彼。
今年入学してきた久住航生(くすみこう)君。
成績も優秀ながら、態度も優秀。
生徒からだけでなく、教師からの人気も抜群。
見た目は猫ってか、羊かな。
小動物っぽい。
髪の毛がゆるゆるふわふわで、色素薄くて茶色い。
少しピンクに染まった頬も可愛い。
目尻も下がって、垂れ目ってのもポイント。
癒し系だよね、本当に。
かくいう私も癒されてる人物の一人。
天使スマイルを見せつけながら、私の元へ寄って来る久住君。
つい、お小遣いでもあげたくなってしまう。
まあ、そしたら私が犯罪者になってしまうのでダメだけど。
久住君が首を傾げて上目遣いをすると、口を開いた。
「先生、髪の毛ちょっと乱れてる。走りましたね?」
「う。バレてる」
慌てて私は髪の毛を必死に手ですく。お手洗いに寄ってくる余裕はなかった。