肉食系男子に、挟まれて【完結】
「あーーーもう、わかりました!
入れますから、騒がないで下さい!」
「本当に?」
「はい」
「やったっ! んじゃ、行こうか。安西センセ」
さっきとは打って変わって満面の笑みを見せると、彼は私の腕を引いて行く。
唖然としてその姿を見る。
……またしても、私はこの男にしてやられた?
え? 演技? まさか、さっきのは演技?
私はあんぐりと口を開けたまま、彼の後ろ姿を見つめることしか出来なかった。
マンションのエントランスを抜けて、エレベーターに前の来た私達。
「……手、離してくれませんか」
「ん~? 逃げそうだから嫌だ」
「逃げませんから」
つか、自宅だし、逃げるとかないし。
でも彼の手が離れる事はない。
はあっと息をつくと、再度離してと言うのは諦めた。
視線を伏せた時に、山本先生のスーパーの袋が目に入る。
「……たくさん買いましたね」
「ん? あ、うん。俺自炊するから」
「え」
「何? 意外だって?」
「はい」
それは意外過ぎる。
カップ麺とか、毎日食べていそうです。普通に。大盛りとかで。