肉食系男子に、挟まれて【完結】


「あーーーもう、わかりました!
入れますから、騒がないで下さい!」

「本当に?」

「はい」

「やったっ! んじゃ、行こうか。安西センセ」



さっきとは打って変わって満面の笑みを見せると、彼は私の腕を引いて行く。
唖然としてその姿を見る。


……またしても、私はこの男にしてやられた?
え? 演技? まさか、さっきのは演技?


私はあんぐりと口を開けたまま、彼の後ろ姿を見つめることしか出来なかった。


マンションのエントランスを抜けて、エレベーターに前の来た私達。


「……手、離してくれませんか」

「ん~? 逃げそうだから嫌だ」

「逃げませんから」


つか、自宅だし、逃げるとかないし。


でも彼の手が離れる事はない。
はあっと息をつくと、再度離してと言うのは諦めた。


視線を伏せた時に、山本先生のスーパーの袋が目に入る。



「……たくさん買いましたね」

「ん? あ、うん。俺自炊するから」

「え」

「何? 意外だって?」

「はい」


それは意外過ぎる。
カップ麺とか、毎日食べていそうです。普通に。大盛りとかで。
< 41 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop