肉食系男子に、挟まれて【完結】
「こう見えて、弁当男子です。俺は」
「えっ、本当ですか?」
「うん。俺、母親いなくて父親に育てられたからさ。
だから、料理ってか、家事全般それなりに出来るよ」
エレベーターに乗りながら、サラっと話す彼に思わず口を噤んでしまう。
そうだったんだ。
「凄いですね、尊敬します」
「え」
そう言うと、山本先生は目を瞬かせた。
あれ? 私おかしな事言った?
「あ、えっと、うん。
……他と反応が違うから困る」
「は?」
反応? 何? どれ?
意味が分からない。
「母親はどうしたのーとか、根掘り葉掘り聞いて来たり。
大変だったねーとか可哀想ーとか、無駄に同情して来たりするヤツばかりだからさ。
素直に褒められたのって、なんか、初めてで戸惑う」
「いや、だって凄いですよ。
私家事も料理も嫌いですから」
「それはまずいな」
「ですよね。わかってるんですけど、苦手なんですよ。要領悪いというか」
「ああ……成程、それはそうかも」
「ぐっ……」
ど、どうせ、要領悪いですよ。
てか、それはそうかもって何で肯定されないといけないの。
私要領悪いとこ見せたかな!?
三年目で一応、ソツなくこなせるようになっていると思うんだけど!?