肉食系男子に、挟まれて【完結】
「辻先生のとこってお化け屋敷ですよね?」
「そうそう、定番の」
「クオリティ高そうですね。美術部の杉山君いるし」
「まあね。最後だし、すっごい怖がらせてやるって意気込んでるよ」
辻先生は三年のクラスを受け持ってる。
杉山君は美術部部長で、コンクールで入賞したりと、実力がある生徒。
「うん、私行きたくないです」
「ええ? 来なよ? 怖いなら山本先生と一緒にさ」
「何でそうなるんですか」
「え」
ニヤニヤと含みのある笑いを見せる辻先生。
全く、辻先生は。昨日山本先生がタイプだなんて辻先生に言うからだ。
それから、私達は時間になったので、教室に向かった。
HRを終えてから、向かうのは久住君のクラスだ。
初っ端だったんだよね、そういえば。
笑顔。笑顔で行くぞ。
手に持った教科書達をぐっと握り締めると、階段を降りる。
降りた先にいたのは、たった今考えていた久住君だった。
トイレからの帰りなのか、一人で教室に向かっているところらしい。