肉食系男子に、挟まれて【完結】
「あ」
久住君は私を見ると、バツが悪そうにそう声を漏らす。
私は出来るだけニッコリと笑って
「久住君、おはよ」
そう明るく言った。
「え、あ、おはようございます」
戸惑った顔を見せながらも、返事をする。
その久住君の隣に並んだ。
「久住君のクラスだから、行こうか」
「……はい」
ふわふわの髪の毛は今日も健在。
やっぱり、何度見ても小動物なんだよなあ。
年上だからそう感じるだけか。
久住君は可愛いって形容詞がよく当てはまる。
「先生」
「ん」
「……俺。昨日の事、謝りませんから」
「え?」
久住君は顔を私に向けて、しっかりと視線を合わせる。
真剣な表情に思わず息を呑んだ。
「悪い事したと、思ってないですから」
あまりにも真っ直ぐな視線に何も答えられず、私は黙って久住君の続きの言葉を待った。
「……でも、普通に話してくれて嬉しかったです。
絶対に避けられると思ってたから」
「……久住君」
彼のふわふわの髪の気が揺れる。
久住君は眉間を狭めると、酷く辛そうな顔を見せた。