肉食系男子に、挟まれて【完結】
「朝から気に入られてるねえ?安西ちゃん」
「……やめて下さいよ、辻先生」
ニヤニヤしながら私を見る辻先生。独身、アラサー。
ぴしっとしたスーツを着る見た目は厳しそうな先生だ。
実際はそんな事なくて、いや、厳しいは厳しいけど。
愛があるというか。
まあ、口うるさい事は口うるさいから嫌いな生徒がいるのも事実。
私は先生としても人としても尊敬するところがたくさんあるから、辻先生のこと好きだ。
そんな彼女は、ゆるふわの癒し系羊男子の久住君みたいなのは一切タイプではないらしく、高倉健みたいな、頑固一徹親父ってのが好きみたい。
タイプは寧ろ、ハゲた教頭と言っちゃう様な先生なのだ。
初めて二人で飲みに行って、それを打ち明けられた時は盛大にお酒を吹き出した記憶がある。
そこから好きになったんだけどさ。
「あれはね、犬。犬だね」
「へ? 犬ですか?」
「そう、安西ちゃんが来ると私にはぶんぶんと振ってる尻尾が見える。
ほんっとうに懐かれてるよね」
「いや、そうですかね?彼、誰にでもああじゃないですか?」
「わかってないな」
辻先生は人差し指を立てると、ちっちっとする。
半端ないドヤ顔を披露しながら、辻先生は続けた。