肉食系男子に、挟まれて【完結】
あ。やっぱり演劇だ。
ふうん、シンデレラ。
……久住君、王子様役が果てしなく似合いそうだな。
配役までは聞いていないけど。
練習はもうしてるだろうから、聞いてみるかな。
あれ? 体育館のタイムスケジュールにバンドがあるな。
しかも、これ久住君だ。久住君がバンドやるのか。おおっと、また意外な。
歌うのか、楽器弾くのか。
どっちにしろ、それも楽しそうだ。
「安西先生って歌とか得意ですか」
急に後ろからそう声がかかって、体をびくっと揺らした。
ドクンドクンと変に心臓が鳴る。
驚いた。
絶対寿命縮んだ。
「山本先生、急に声をかけないで下さい」
どきどきとする胸を抑えながら、私はキッと睨みつける。
それに、山本先生は肩を竦めると
「すみません、何度か呼んだんですが…」
そう言って頭をぼりぼりと掻いた。
「え。本当ですか」
「はい、資料見てるから集中してるんだろうなと思ったんですが」
「それは、すみませんでした」
「いえいえ。で、歌は得意ですか?」
「歌ですか?」
「はい」
「……あまり」
「うーん……じゃあ、やっぱり俺がやるか」
腕を組むと、難しい顔で考え込む山本先生。
えっと、全く以って話の意図がわからないんですけど。