肉食系男子に、挟まれて【完結】

「あの、何の話でしょうか」


おずおずそう声をかけると、それに気付いた山本先生がカラっと笑った。



「ああ。教師でやるバンドですよ」


ん? バンドって言った? 今。



「あの、まだわからないんですけど」

「え? 毎年教師も何かしてるんですよね?」

「ええ、はい」


うちの高校では、生徒のみの公開と、一般公開の二日間で実施される。
その校内公開で教師が一芸するのだ。


そして一般公開も終わると、キャンプファイヤーなどをやって例年盛り上がる。


それと同時に、カップルも多数誕生するみたいだ。
まあ、当然っちゃあ当然だよね。


告白には打ってつけだと思うし。
実際、私も高校時代それでカップルになったタチですし。


だから、生徒たちの恋愛事情に文句は言わないけど、自由だと思うし。
それで勉学を疎かにするのは違うから、それだけ毎年釘を刺している。



「そこで今年はバンドやる事になったんで。もちろん安西先生も」

「はあッ!?」


驚き過ぎて思わず、大きな声が出てしまった。



ちょい待て。
私もって何で。

毎年、校長先生の有難いお言葉と、演劇や朗読会とかなのに。


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