肉食系男子に、挟まれて【完結】
「山本先生、私トライアングルかカスタネット。
それ以外無理ね」
「ぶはっ」
真面目な顔でそう告げる辻先生に、意表を突かれまくって、盛大に吹き出してしまった。
ぎろりと睨まれて、慌てて口を噤むけど。
それはどうやら山本先生もらしく、顔を背けて肩を震わせている。
「何よ」
腕を組むと、少しだけ恥ずかしそうにしている辻先生。
「わ、かりました。くく、じゃあ、トライアングルで。……ぷはっ」
耐えきれなくなったらしい山本先生は、額を押さえてケラケラと笑う。
つられて私も笑えて来る。やめて欲しい。どやされるのは私なのだから。
「全く! うるさい! 二人とも!」
「あはは、すみません」
「んじゃ、今日からやるんでしょ? 曲は決めたの?」
「あ、MAYとかどーですかね」
「MAYって。私達に出来るの」
驚きながら山本先生に尋ねると、辻先生がキョトンとした顔で口を開く。
「MAYって何」
私と山本先生は言葉を失っていて、二人して辻先生を見る事しか出来ない。
まじか。CMやドラマのタイアップ曲も多いし、あれだけ有名な歌手だ。知らないとは思わなくて驚いた。