肉食系男子に、挟まれて【完結】
「見に行くんですか? いいですよね。
俺も高校の文化祭ではブラバンで、練習してました」
「そうですか」
「俺はボーカルでしたけど。って、もう二人だしいいかな。
タメ口で」
「え」
「だって、先生もう職員室だし、帰ると思うし。
俺ね、ボーカルだったけどギターも好きでさ。
一時期本気でプロ目指してたなあ」
「そうなんですか?」
「……ちゅーされたいの?」
「はっ!?」
話の脈絡がおかしい。繋がっていない。
何でそうなるの。
そうなんですか。の、どこにその要素があるの。
「二人きりの時は敬語禁止。でしょ?」
完全に忘れていた。昨日、そう言われていたんだった。
「あ……いや、でもそれは学校内では……」
「だって、二人きりってだけで、どことか決めてないからね?
俺ちゃんと敬語使ってたでしょ?」
それは確かに。
きちんと敬語使ってくれていたし、真央梨と呼ぶ事もなかった。
いや、でもやっぱり納得行かない。
学校内だと、誰に見つかるかわかんないし。
そう思ってたら、壁際に追いやられて距離を詰められて行く。
逃がさない様に両手を壁に伸ばして、腕の中に閉じ込める。
近い。
近過ぎるから。