肉食系男子に、挟まれて【完結】


「見に行くんですか? いいですよね。
俺も高校の文化祭ではブラバンで、練習してました」

「そうですか」

「俺はボーカルでしたけど。って、もう二人だしいいかな。
タメ口で」

「え」

「だって、先生もう職員室だし、帰ると思うし。
俺ね、ボーカルだったけどギターも好きでさ。
一時期本気でプロ目指してたなあ」

「そうなんですか?」

「……ちゅーされたいの?」

「はっ!?」



話の脈絡がおかしい。繋がっていない。
何でそうなるの。


そうなんですか。の、どこにその要素があるの。



「二人きりの時は敬語禁止。でしょ?」


完全に忘れていた。昨日、そう言われていたんだった。


「あ……いや、でもそれは学校内では……」

「だって、二人きりってだけで、どことか決めてないからね?
俺ちゃんと敬語使ってたでしょ?」


それは確かに。
きちんと敬語使ってくれていたし、真央梨と呼ぶ事もなかった。


いや、でもやっぱり納得行かない。

学校内だと、誰に見つかるかわかんないし。


そう思ってたら、壁際に追いやられて距離を詰められて行く。


逃がさない様に両手を壁に伸ばして、腕の中に閉じ込める。


近い。
近過ぎるから。
< 69 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop