肉食系男子に、挟まれて【完結】
「そう見えたかな?」
久住君の腕に力が入る。
同時に、私の手首を掴む手にも力が入った。
「先生、昨日赴任したばかりですよね?
女性を口説く為に来たんですか?」
「いいや? 俺はちゃんと授業しに来たよ?
そこにたまたま俺のタイプドストライクの女がいたら、普通に口説くよね?」
「昨日今日で軽過ぎるんですけど。
そんなんじゃ信用されませんよ」
「何? じゃあ、一ヶ月好きでいたら口説いていいの?
半年? 一年? アホか。
他の誰かに取られたらどうすんだよ。
俺が好きになったんだよ、魅力ある女って事だ。
誰かが奪ってったって仕方ない」
矢継ぎ早に言う山本先生に、久住君は何も言えずにいた。
「……って、俺も何生徒にムキになってるんだろうか」
山本先生ははあっと一つ息をつくと、頭をがしがしと掻いた。
それから、眉を下げると明るくははって笑う。
「まあ、校内でってのはマズかったな。
久住君、お願い。黙っててくれないかな」
「……どうだか」
「本当に。バレて騒がれたらほら、安西先生にも迷惑かかるしね?
俺が勝手にした事だし」
久住君はちらっと私の方を見ると、また考え込む。
その後、俯くと静かに口を開いた。