肉食系男子に、挟まれて【完結】
嬉しくないモテ期到来
あの後、私はろくに返事をする事も出来ずに、逃げる様に帰って来た。
絶対傷付けた。
「ご、ごめん、帰るね。練習頑張ってね!」なんて、上ずった声で言うしか出来なくて。
背中に痛いぐらいに刺さる視線を感じながら逃げたんだ。
私は自分の家まで走って帰ると、乱暴に靴を脱ぎ棄ててベッドに倒れ込む。
……何コレ何コレ。
てか、私キスされたよね?
されたよね?
生徒に。
これは私に危機感がないから?
生徒だからって高括ってたから?
ああ、もう、バカみたいだ。
てか、バカだ。私。
ゆるふわの癒し系だからって、久住君に心許し過ぎたんだ。
勘違いさせてしまったんだろう。
はあ。
ファーストキスではないから、そういった事で落ち込んだりはしない。
だけど、生徒とするのはもちろん初めてだ。
恋愛感情を抱いた事もないし、ましてや告白なんてされた事ない。
そういった対象に見た事ないし、考えたりもしない。
教師として、それが普通だと思っていたし。