肉食系男子に、挟まれて【完結】
……肉か。
そう考えただけで涎が溢れ出る。
「スペアリブ。どう?食わない?」
食べ物で釣られない、釣られない。
「…………食べる」
私の意識とは反対に、そう言葉が出た。
だって、昨日の油淋鶏的なの本当に美味しかったんだもん。
それでスペアリブって、惹かれない方がおかしい。
そんなモン、作った事なんてないし、作ろうと思った事すらない。
肉だなんて、味付き肉を炒める事ぐらいしかしない。
特売で安い~ってヤツ。
あれでご飯三杯はいけるんだよ。
……いいんだ、女子力低くたって。いいんだもん。
「んじゃ、どうぞ」
体を避けて、私が通れるスペースを作ると中へと促す。
「お邪魔します」
私は遠慮がちに足を踏み入れた。
そして、綺麗に整理整頓された部屋を見て息を呑む。
……私の部屋が相当汚く感じるんですけど。
ぴしっと掃除されているし。ゴミ、いやチリ一つだって落ちてなさそうだよ。
これ、潔癖症レベルだ。
リビングの本棚の隣に立てかけてあるアコースティックギター。
そして、本棚には様々なアーティストの楽譜。
……好きなんだ。
そういえば一時期プロ目指していたって言っていたな。