肉食系男子に、挟まれて【完結】
あはは~と笑っていると、職員室の扉が開く。
入って来たのは教頭先生と、もう一人。きっと後任の先生。
その人は想像以上に若い。
辻先生の顔をちらっと見ると、あからさまにがっかりとしている。
分かりやす過ぎるよ、辻先生。
私と同年代にも思えるその先生は、真っ黒い髪の毛をセンターで分けていて後ろに流している。
スッと伸びた眉に、凛とした漆黒の瞳。
薄い唇、スッキリとした頬。
……あれ?
どこかで見た事があるぞ?
どこだ?
腕を組みながら、彼を凝視するが分からない。
教頭先生がにこやかに声を出す。
「ええ、おはようございます、この方が鳥山先生の後任の先生。
山本先生です。どうぞ、自己紹介を」
……山本?
山本先生は爽やかな笑顔を見せながら、こっちを見る。
バチっと目が合った途端、ニヤリとされて段々と思い出す。
“あ、すみません。隣に引っ越してきた山本です。”
と、と、隣に引っ越して来た人だ。
まさか、まさかの。
目を真ん丸に見開いて、私は声を出さない様に咄嗟に口元を手で抑えた。危ない、あと数秒遅かったら出ていたかもしれない。