肉食系男子に、挟まれて【完結】
「だって、安西ちゃんってなんかどっか抜けてるんだよね」
「……はい?」
それは褒めていないよね? うん? 褒めていないですよね?
そこが可愛いって?
「見た目、めっちゃしっかりしてそうなのに、要領悪いしさ。
他の人が手抜きするとこを、一から十まできっちりやっちゃうでしょ?
おバカな可愛さが、どうしようもく愛しいのよ」
ふふって笑みを零すと、辻先生はビールをごくりと飲んだ。
私も倣う様に飲む。
何も言葉が出ない。
そんな風に思っていたんだ。
馬鹿にしている様には一切思えなかったし、寧ろどこか気恥ずかしく感じている私がいる。
「だからねえ、何か構っちゃうんだよね。
山本先生がちょっかい出すのもわかるわ」
「……自分じゃ全然わからないですけど」
「でしょうね。天然小悪魔、キラリンって感じ」
「何ですか、それ」
「何だろうね」
二人してあははって口を開けて笑った。