堕天使、恋に落ちる
一徹と命さんが帰ってきた。

一徹がゆっくり近づいてくる。
震えが止まらない。
一徹のあの恐ろしい程の真っ黒なオーラは、きっと今までも人を傷つけ傷ついてきたとゆうこと。

私の前でひざまづき、頬に触れようとする。

まだ、間に合う。
この手を振り払えば、苦しく恐ろしい世界から抜け出せる。
「由那…?俺が怖い…?」
「やめて…」
「由那?」
「そんな目で、見ないで…」
「由那…」
「そんな声で名前を呼ばないで…」

さっきまで、あんなに真っ黒な恐ろしいオーラだったのに、今ここにいる一徹はいつものキラキラした綺麗な目の、優しい一徹だ。
そんな風に来られたら、もう―――――

「本当に放れられないじゃん…!!!」

私は一徹に吸い寄せられるように、抱きついた。


「一徹…私、一徹が好き……どんな人だったとしても」
「由那…?」
「一徹の綺麗な目も、優しい声も、匂いも、恐ろしい位の重い愛も全部……」
「うん」
「私、全部ちゃんと受け止めたい!」
「うん」
「だから、教えて?私を襲おうとした人はどうなったの?」

「本当にいいの?聞きたいの?」
「うん」
「わかった」

一徹は命さんに目ふせをして、オーナー室で一徹と命さんに今日あったことの話を聞いた。
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