堕天使、恋に落ちる
仕事が終わり―――
「お疲れ様。由那」
「一徹。いつからいたの?」
「ついさっき来たよ!」
嘘だ。
明らかに冷えてそう。
私は背伸びし、両手で一徹の頬を包んだ。

「嘘……凄く冷えてる…」
「温かい……」
「嘘はなしね!そうゆうの嫌!」
「わかった」
「仕事は?」
「由那を家に送ったら、行く」
「わかった。じゃあ帰ろ!」
手を繋ぎ歩く。

「ねぇ…」
「ん?何?由那」
「朝会った男性、気になる?」
「うん、まぁ。でも由那が話すまで聞くつもりないよ!」
「………」
「由那?」
「私ね…堕天使なんだよ!」
「堕天使?天使じゃなくて?」
「私、天川 由那っていう天川の名前をとって、天使って呼ばれてたの」
「似合う!由那は天使みたいに可愛いからね」
「でも、今朝会ったあの男と不倫したの。止められなかった好きすぎて…」
「そう…」
「でも、あっさり捨てられた。私、彼の…いや、この会社のマスコットなの。だから彼も遊び相手にしか思ってなくて。不倫してたこと会社中にバレて、堕天使って呼ばれるようになったの。
軽蔑した?」
「ううん」
「嘘だぁ!するよ。普通」
「普通じゃないから。俺」
「そうなの?」
「そうだよ。だからそれくらいでは軽蔑なんてない」

「それでも、私を愛してくれるの?」
「もちろん!覚悟しててねって言ったでしょ?」
「うん」


一徹の手の温もりが、心を癒してく。

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