堕天使、恋に落ちる
「ねぇ今だけでいいんだ。
俺のことだけ見て?
由那の目に映るもの、感じるもの、全部俺だけに……。
これ以降、こんなワガママ言わないから。
俺のことだけ考えて、俺のことだけに集中して?」

命さんの懇願が、あまりにも切ない。

「お願い…由那……」
私を抱き寄せる。

振りほどけなかった。
命さんが怖いのではない。
あまりにも切なくて………それに命さんが震えていたから。

「好きなんだ……由那が…」

こんなに切ない告白、私は知らない。
私はずっと抱きすくめられていた。


「………」
「………」
「命さん」
「ん?」
「私は一徹を愛してます。一徹じゃなきゃダメなんです」
「うん。知ってる。痛い位に」
「だからごめんなさい…。
命さんの気持ちを受け入れられません。
ごめんなさい…」
「うん」
命さんの気持ちが痛い程わかる。
もし一徹が他の人のものだったらと考えると……。

「命さんは強いですね?」
「ん?なんで?」
「私…一徹と出逢う前不倫してたんです。既婚者の男性を好きになって。抑えられなくて、流されるまま不倫しました。最低でしょ?
でも命さんは違う。
私の気持ちを最優先にしてくれる」
「きっと本当に好きじゃなかったんだよ…ソイツのこと。寂しかったんじゃない?ずっと一人で」
「……そうかな?」
「きっとそうだよ…!」
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